(常夏の)幸福論
なでしこの生い繁る‘楽園’という名の小部屋にて恋をおぼえる
部屋の端どうしでつなぐ糸電話このワンルームだけは常夏
よこたわる夜に背を向け一歩ずつ歩みだす汗ばむ身体たち
叩くドアがなくなってた夕立のまとわりつく脚を見つめてた
果てしなくつづく二進数の上で迷子になるのひとりぼっちで
かなしみはドイツワインによく融ける深夜のテレビ番組曰く
海は好きですか。身体が塩辛い――(もしかして海そのものですか)
あの夏の日、現実には存在しない人に愛されていたっけ