maboroshi
群肝の心まどひし恋なればよに苦しけれ朝影となる
あざあざとうつしたる様おもしろし陽炎立ちぬ春の原野に
澪標あはれと思へ浮き舟のこがるるも誰彼と問わねば
会津嶺に春は来たりて八重桜いよよ匂ひつ向かつ丘までも
玉の緒のみだるる心いと憂しや遥けし人を夢に見ゆ日は
畳なはるくもゐのすそをひろげたし揺蕩ふ水を遊ぶがごとく