海かしら


   夕立に濡れにけり ドアを叩けず

   蝉みたく泣き叫びし日 遠くなり

   炎昼に映えり 新訳罪と罰

   君が心のやわらかさ 楊桃や

   海かしら 塩味の四肢持つ君は

   あざやかな額に夏が残りたり