ネバーランド


   雨模様 つとつと、と鳴く あの灰の雨雲はわたしを置いてゆく

   ははそはの亡き母しのびメリーゴーランドよ回れ とむらうように

   パンジーを横目で見送り永遠を身をもって知る初夏のたわむれ

   うそぶいたこの喉をかききって今 おもいだせない いつかの母を

   六月のぐるぐる回る観覧車 わたしはいつか空を越えてた

   さるすべり 雨もよおしてつづく空 暮れ果ててなおつづく焦燥

   永遠に消えないながめ わたしにはピーターパンはやって来ないの

   ジェットコースターになんか この心 かき乱されたくない五月雨

   栂(つが)の木のつぎつぎ放す赤い風船に重ねる母のおもかげ

   灰色にひそむ気持ちを押しころし 広くて青いうみを見ていた