2014.04-06


   三日月のほほえむ夜はひとりきり 普通列車にさらわれたいの (4.5)

   残雪をかかえて青き山々はのびやかである午睡の母よ (4.12)

   鳴りひびく着信音の間抜けさに揺れる心をもて余してる (4.20)

   やわらかく水の張られた田んぼ見て泣いてしまった、わけもないのに (4.24)

   聞かれてもよい本音など女には無数にありてコートを脱げり (4.27)



   幸福な笑顔を見せて(もう二度と会うことはないすべての人へ) (5.7)

   足元をすくわれたくて会いにいく夏のあなたは危険人物 (5.12)

   水中に棲む恋人よ 結婚をしたら私もそこに棲むのか (5.26)



   写真には静寂ばかり残されるたとえば跨道橋の色など(6.28)