2014.01-03


   初空を渡る烏がうらやまし あかつきの別れにうらぶれば (1.2)

   空腹を夢みる少女らはやがてこの惑星を食べ尽くすだろう (1.6)

   きみのこと、あなたのこと、日々のこと、なぜか剥がれおちた記憶のこと (1.6)

   きみの隣にいると溶けてしまう身体です。わたし、うそが言えない。 (1.19)

   越えられない壁などあるのでしょうか 雪うさぎを作っては逃がす (1.22)

   水捌けのよい心を持て余していませんか今から会えますか (1.29)



   星の降る夜にもう一度会いましょうこのキスを招待状として (2.6)

   開きたいドアーのありて何万の人びとは住む冬の左京区 (2.11)

   境目を無くしてしまいたくてくちびるを重ねたここは天国 (2.11)

   肉体に別れを告げてひとつになることのできる冬の恋人 (2.11)

   チョコレートケーキをまえに泣いており愛されるのも億劫なとき (2.19)

   ねぇ、どんなにかなしくてもつらくても宇宙のこえに返事しちゃダメ (2.19)

   止まらない列車のなかに独りきり夢をかかえて眠ってしまう (2.19)

   つねならむ別れのありや水はただ流れゆきゆきてとどまらざれば (2.27)



   真夜中の水道水はあまりにも高い純度でわたしを責める (3.6)

   あたらしい鱗を褒めあってはしゃぐ人魚のありしコーヒーショップ (3.13)

   本棚の「たんぽるぽる」に中断をゆるしてしまう引っ越し準備 (3.20)

   夕焼けの街をいそいで帰る人それぞれに巣があるって不思議 (3.23)

   指先にひかりを集め生きてゆくことができますどんな場所でも (3.30)

   悲しみで満たされている場所がある お友達から始めましょうか (3.30)